誰にも可愛がられず
誰にもなびかず
肩を寄せられれば離れ
馴染みの店を持たず
馴染みの人に会わず
修道士のようであったとしても
大陸は遠く
遠く
劇場が閉まる日
劇場が閉まる日
行き着く島々に未開は無く
掲げてきた旗はことごとく
強風に折られて
それでいて今風は凪ぎ
わたしの張った帆は小さ過ぎる
しかしわたしには
もはやそれしか持つものが無いので
わたしはその帆を誇りと呼び
時々皺を伸ばしては
太陽と雨に打たれ
鼻腔深くまで吸い込んだ
希望の匂いを嗅ぐのである
劇場が閉まる日
劇場が閉まる日