顔の無い楽団の話

とうとうこの街に顔の無い楽団が訪れる
いつもよりにぎやかなそのシンバルに魔法をかけてる
人々は新しい歌を歌いながら尾いて行く
木の上で見下ろしている僕は固唾を飲んで見守って
船に乗って

彼等は唄を唄う色鮮やかな恋の唄を
閉じて行く僕らの心をそっと尻目に
それで船は進む

冬が訪れて 冬の始まりに

街中の橋は落とされてしまって
僕らは片目の無い野ギツネみたいにはしゃいだ
悲しみのまるで無い歌を口ずさんで

冬が訪れて 冬の始まりに

橋の無い街にずっと澄み渡るように
僕らは塞ぎ込んだ素顔のまま歩いた
悲しみのまるで無い歌を口ずさんで

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