美しい人よ

美しい人よ
ススにまみれて機関車を動かしていた
帽子を斜めに被って 肩まで腕まくりをして
昨日は汗をかいた 二人分の夢があった
東北地方までさとうきびを運ぶのさ
口笛はとても澄んでいた
現金は少ししか持っていなかった
お前の歌う歌は労働者達の心を打った

美しい人よ
カボチャが駅に飾られた町
女は母親で
赤ん坊を抱いてお前を待っていた
父親は別の女を作って出て行った
人生の大半を子供のために奉げる人
束の間の自分のための幸せ
愛情はカボチャよりも随分重いけれど
ウイリアムテルごっこをするには大きすぎるよ

美しい人よ
広場の真ん中で旗を振っているような
本当はそういう人でありたかったと
お前は言うだろう
物という物を捨てながら
自分の髪の毛で
筆を作り 自分の血液で
絵を描こうとするお前を私のほうは素敵だと思ったが
正常な人々は蔑んだ目でお前を見た

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です