もういい加減に定職に就こう
木こりはそう思って山を下りた
最近流行りの仕事は全部
海沿いの街で行われている
まず見つけたのは小さな食品加工会社
魚の扱いで漁師たちと折り合いが悪いらしい
でも木こりは自分に言い聞かせる
仕事は評判で選ぶものじゃない
山の上では愛する妻と一人娘が待っている
覚悟を決めて面接を受けた彼に
木こりのお前に何ができるんだと会社は聞いた
帰りの道は湿った潮風
いつにも増して生ぬるく
木こりは木こりで果たして自分に
何をして金を稼げるのかと悩む
ふと見ると周りには同じような人々が
幾つも幾つも悩み顏を並べて歩いてる
夢も希望も失った人で街は溢れかえっていた
それでも奴らは男だから口では強気を繰り返す
そのうち彼らは口論を始めて
止めに入った木こりは前歯を折られてしまった
誰も彼もが何をすべきか実のところ分かっていない
君は知ってるかい自分の一番素敵で誇らしい所
山は山、海は海で仕事が違って
それを間違えると何よりも不幸になってしまうんだ