悲しい便りの終着点

草原の向こうにゼブラが走っていて
僕が手に持っているのは尖った石のついた槍
水飲み場には集落の人が1日に飲める量が限られている

・秘密
ここでは秘密なんか持ちながら生きてはいけない
余計なものを持つことは
余計に生活を複雑にするって
言い伝えられる以前から分かり切っている

・本能
本能のままに暮らすんだ
身体が要求することを満たすように
でもそこにもはっきりとした不文律があって
自分以外も満たされていないといけない

・罪悪
いつから僕は罪悪感を感じるようになったのか
誰か頭のいい人が
貯えという考え方をひらめいた
それからというもの僕たちは穴を掘るようになった

穴はどんどん深くなり
アトランティスが滑り落ち
カエサル達が這い出して
今じゃ霞が関あたりで地下鉄の通り道

木馬にのった軍人が走れ走れと命じてる
君の名残りの湯呑茶碗
棄てようとしても棄てられない

夢にまで見た生活が嫌よ嫌よと逃げて行く
今や孤独は君の中にある

何もかもうまくいかなかった日々を質に入れて
ささやかではあるけれどアフリカに送ろう
草原の向こうにゼブラが走っていて
こんな悲しい便りの終着点

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です