静止画

分かった分かった
もう降参
手柄は全部お前にやろう
若さは凡庸さを隠さずにいられない
でも時に
若さはそれだけで罪である
僕も同じように

分かった分かった
もう沢山
手垢の着いた系譜なんて
自分以上に自分について悲しむ人がいる
それはつまり
溢れんばかりの愛情を注がれたということ
お前も同じように

視界の半分以上が海になってくると
まるで静止画のように平べったい
静止画の中を走っている車
静止画の中を落ちる夕陽

電車の発車ベルが僕の居る部屋にこだまする
海には音が無い
ここから見ている限りは

あそこにはプランクトンが居る
手前の建設中ビルにも居て
ここにもプランクトンが居る

兄弟たちよ争うこと無かれ
生命であることに罪は無いのだ
ただただ放て
ひたすらに放て
苦しみ 嘆き 妬み
老いながら
生命の頂きに向かって

勢いよく放て
勢いよく放て
勢いよく放て

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