リジュは癌を食べて生きている
裏の公園に住む鳩の名前で
彼の食欲は旺盛だ
朝には露に染まった
昼には鮮やかに乾いた
夜にはくたびれた油のような
人間の黒光りする癌を食べている
赤面症の僕の横へ来てリジュは言った
「お前の食べ残しをワタシに分けてくれないか
浅ましいと思うかも知れないが
これがワタシのやるべき事なのだ」
リジュはまたこうも言う
「生命は永遠に循環するものなんかじゃない
甘えた考えを持っているのは君達人間だけなんだ」と
でもそれは彼が食物をねだる時の安っぽい文句で
それに気付いている奴は多い
リジュは癌を食べて生きている
裏の公園に住む鳩の名前で
食事が終わると彼の眼は再び虚無の空洞になる
全ての色の中で最も灰色のその眼が
僕にいつも死の感覚を思わせるんだ
鳥達が着地する時に風が起こって
葉を舞い上がらせるのを知っているかい
何という幸せ!
リジュは癌を食べて生きている
リジュは癌を食べて生きている