誰かが誰かに魔法をかけて
夜を盗んでいきました
眠りは蒸発
ベランダから
僕は夜通し起きています
地球の外側から見た
みんなの布団
大中小色々な
四角形
毛むくじゃらの男と
肌の白い女が
悪い悪いことをした奴と
清く正しく生きた人
赤毛のメリーは馬を追い
羊を数えて男の子
みんな楽しく
それとも悲しく
波の立たない湖のような
夜の深くに沈んでいきます
たった一人僕を除いて
何か言えることがあるだろか
誰にでも訪れるこの夜のような
当たり前の何かを
そんな事を考えていると
印刷された暗闇の
印刷しきれなかった隙間から
青い顔をした朝日が滲み出てきて
5時
僕はようやく魔法がとけて
僕はようやく眠るのです