ふきのとう

いざこれからって時の
この気持ち
ささくれだったフキノトウみたいな
雨に萎びたタケノコみたいな
そこはかとなく
お腹の中身が宙に浮いているような

だけどどうしてもやらなきゃいけないことがあって
一歩一歩重くなっていく脚を
なんとか持ち上げる右左

きっとこんな臆病な気持ちには
僕のあのヒーローはならなかったんだろう
誰かみたいにならなきゃいけない
でも最後には自分自身でいなきゃいけないの繰り返し

道は縦横斜めに伸びていて
すれ違う人々はみんなそれぞれに
だったら辞めちゃえばいいじゃないと話しかけてくるみたい

青々と美しいこのお池は
人工的に造られた養殖場
自然に造られた川なんて
大体が濁ってたり曲がりくねってたり

そう僕はこの複雑にこんがらがった
絶望と希望のさざ波を
紅潮と蒼白の顔色を
日陰と日向のムラっ気を
思いっきり踏み潰して前へ

いざこれからって時の
この瞬間
それを迎えた事のある人なら
きっと誰だって同じさ
年甲斐もなく
小さな1日に情熱を燃やしてる

だからどうしてもやらなきゃいけないこれだけは
重油に浸かり切ったような脚を
大地に踏みしめる右左

きっと全部忘れて眠りたい日が
僕のあのヒーローにもあったはずなんだ
誰かみたいにならなきゃいけない
でも最後には自分自身でしかいられないの繰り返し

いざこれからって時のこの気持ち
はにかみ屋のフキノトウが芽を出す
いつまでも新入りみたいにドキドキして
それでも自分は最高だって時々思えているから

そう僕はこの複雑にこんがらがった
絶望と希望のさざ波を
紅潮と蒼白の顔色を
日陰と日向のムラっ気を
思いっきり踏み潰して前へ

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