15歳になって
やっと憧れていた町の音楽隊に入れる日が来たんだ
朝日が昇ったら
みんなの寝室の窓を開けて
朝が来たよって教えてあげる
子供達が学校に行ったら
美味しいコーヒーが入ったよ
干しっぱなしのズボンが
青いまんま揺れてるよ
君は忘れ物をしなかったかい?
子供達はいつも忘れ物をするんだ
筆箱とかおやつとか
昨日見た夢なんかも
でも15歳はもう大人なんだから
僕はもう忘れ物をしないよ
町長さんが歩いて歩いて
おじいさんおばあさん一人一人に
何か困ったことはないですかと尋ねてる
一つくらいみんな困ったことがあるのだけど
誰もが笑顔で変わりはないですよって答える
町の音楽隊は毎日そうやって決まった時間に決まった音楽を演奏して
僕たちは繰り返しの中続いていくんだと
そう言っているみたい
お父さんは違う町に出かけて
そこでもまた毎日同じように働く
そして1年に一度
いや半年に一度くらい
どうしようもなく変わらなくちゃいけないって思うのさ
町の音楽隊はそんな時
いつもと違う長い音楽を演奏する
鼓笛隊は進む
3人のバイオリン弾きは
それぞれに調子外れなメロディーを
僕は荷台の上
ピアニストの譜めくりをする
みんなそれぞれ毎日少しずつ
何かを忘れていくのだけど
毎日少しも変わらないことをお祝いするように