張りぼて警察官の死

おかしみのある言葉一つ言えやしないの?
本当にあんたって人は
昨日誰かを連れて行った浜辺にあたしを引っ張り出して

真実を告げるくらいなら寡黙な方がいい
そう思い込んだまま岩に張り付いた貝のように

君が血の滴るくらいに豊満でかぶりつきたくても
指と指の間に挟んだ雑草を噛んで捨てるだけ

純血を守ることが常識的なら
随分とちぐはくな形の箱の中に本能を閉じ込めたもんだな

もどかしい思いをどうにもできずに
吸い殻を集めるだけ集め回った
愚かしいと知っていながら
夏の訪れに一片の期待を寄せるような
張りぼての男らしさをそのままにしているなんて

誰の目から見ても明らかな程にやつれているのに
肉を食らう事は禁じられていると空の拳銃を手に
撃ち合いになったとしても
絶対に相手を傷つけてはいけないと習いました
そう言い残して彼は殉職する

もどかしいのはそんなアンタだけじゃない
あたしはこの脳天に一発ぶち込んで欲しいの
錆び付いていようとなんでも構わない
手袋を外してべったりと指紋とつけたその愛で
汚らわしいその指で額の中央を狙って

もどかしい思いをどうにもできずに
吸い殻を集めるだけ集め回った
愚かしいと知っていながら
夏の訪れに一片の期待を寄せるような
張りぼての男らしさをそのままにしているなんて

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