小さなあなたの部屋
世田谷区の外れ
一人暮らし用のかわいい部屋
真っ赤な未来の部屋
交換手と電話機
繋いでいつまでもどこまでも
余計な事ばかり考えてしまうのが夜
時計は嘘ばかり止まったまま
遠くの海と空は汚されてしまって
ラジオも入らない町になった
それであなたはこの東京に逃げ込んで
帰り方が分からなくなってゆく
一人になれば誰だって辛いものなのに
ここは全てが一人用
湯沸かし器も電子レンジも
日々の悲しみさえも
(あなたが忘れた未来も)
周りは輝いていて
あなただけが不幸
そんな風に思ってしまうのなら
綿あめをあげよう
軽くてフワフワの
雲を掴むような話には
他人の呟きが目の前でカラカラと回る
永遠に揃わないスリーセブン
携帯電話も暖房器具も
あなたが忘れた未来も
全部の電源を落として眠りましょうね