雨の日の女

彼女はもうピアノが聞こえないと言って泣く
繰り返す不協和音に白と黒の区別も無くなってしまった

一人になるのが誰よりも苦手なのに
全て美しいものはたった一人から生まれてくると知ってる

本当は誰よりもあなたを想っているのに
あたしはあなたの為 一人でいるのも 二人なのも 苦しいの

彼は国民の期待を背負って投げる野球人で
だからあたしの髪型がストレートかカーブかも知らない

昨日彼は世界一になって家に戻った
あたしの関心は世界一がどうとかじゃなくて戻ってきたこと

本当は誰よりもあなたを想っているのに
あなたがあたしの為 戦うのも 守るのも 苦しいの

時間について少し考えてみたことがある?
始まりと終わりがあるから物事は全て成り立っている

それはそうとよく分かっているつもりだけど
足りない時間がお互いの距離を広げてしまうのだとしたら

本当は誰よりもあなたを想っているのに
あなたがあたしの為 時間を使うのも 使わないのも 苦しいの

彼女は彼の全てを得るのが幸せ
彼は彼女の幸せの為に全てを与えないようにした

すれ違う心とぶつかりあう心が
執拗に二人を引き離しまたどうしようもない程に結びつける

本当は誰よりもあなたを想っているのに
あたしはあなたの事 愛するのも 愛さないのも 苦しいの

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